Common’s Sense

川尻 恵理子

法律一歩二歩 ~法律は難しいものじゃない!~

川尻 恵理子

「異議あり」――そう言って立ち上がり、堂々と依頼人を弁護する弁護士。厳粛に公平な判決を下す裁判官…。法律家と聞いた時すぐさま私たちが想像するのは、こうした法廷ドラマで見るような光景ではないでしょうか。しかし彼らの実際の仕事とは?そもそも法律って?案外知らないことも多いはずです。そこで今回は、ハロー法律事務所の川尻恵理子先生に伺った、意外と知らない法の世界について全6回にわたってご紹介します。

(取材・文/小川奈津実)

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― 私自身法律には疎いので、法律と言えば難しいものというイメージがあります。そこでまず基本的なことですが「法律」とは何でしょうか。

 法律とは一言でいえば、ルールです。無人島に一人で暮らすのなら何をしても構いません。しかし社会の中で生きるには、みんなで上手に暮らすための決まり事が必要になりますよね。それを決めたものがすなわち法律です。だからルールは別に難しいものではなくて、むしろ一般常識です。というのも、誰もがそれであれば納得するという共通認識を内容としているわけですから。

 確かに法律用語にすると複雑になってしまいますが、基本は同じです。立法趣旨と言って、そのルールはなぜ必要なのかという趣旨=骨子に基づいて、これを文章化したのが条文なのですが、これは裏を返せば、その条文を理解するには立法趣旨が何なのか、という点から考えていくと良いと言えます。つまり、法律はみんなで暮らすためのルールであり、そのルールが必要とされる理由を理解するということを押さえれば、条文等も難しいものではないのです。

 当たり前に暮らすということは、みんなが各々の常識に沿って暮らしているということ。日常で物を売買する度に、これは違法かどうか考えたり調べたりしませんよね。つまり、法律は別の世界にあるものではなく、みんなの日常生活の中に目に見えないけれどある空気のようなものなのです。

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みんなが社会で普通に生活するためのルール。そう考えると、誰でも法律をずっと身近に感じられるようになるのではないでしょうか。